• トップ
  • >
  • 第51回 イタリアワインガイドブック

第51回 イタリアワインガイドブック

先週(11月3日)、イタリアのワイン評価本「ガンベロロッソ」の大きなテイスティング展示会が開催されました。「ガンベロロッソ」は毎年10月下旬に発売されるイタリアのワインガイドブックです。目下のところ一番ポピュラーに売れており、プロのソムリエはもちろん、ワイン愛好家が信頼するガイドブックです。



「ガンベロロッソ」誌が年1回だすワインガイドブックは、「Vini d’Italia」(ヴィーニ・ディターリア)として出版され、本年で23年目を迎えます。紹介されるワインを決めるために、約20,000本のワインを審査を務めるスタッフが試飲、ガンベロロッソにはそのうちの10,000本が掲載されるということです。各ワインについてのテイスティングノートやワイナリーの紹介のほか、テイスティング時のアドヴァイスなどが記載されており、確実な情報を求めているワインラヴァーに必携のガイドブックと言えるでしょう。



評価はグラス=ビッキエーレ(イタリア語のグラスを意味する言葉)の数で決められ、ビッキエーレが1つならばウン・ビッキエーレ、2つならばドゥエ・ビッキエーリ、最高3つでトレ・ビッキエーリと評されます。他に、各部門で特に優秀とされたワインまたはカンティーナ、醸造栽培家に贈られるトレ・ビッキエーリ・スペチャーリ(特別賞)などがあります。トレ・ビッキエーリを10回以上獲得すると★マークがつけられ、現在までの最高獲得数を得たワイナリーはピエモンテ州GAJA(ガヤ)。



また昨年から、ガンベロロッソ最高責任者が特に気に入ったワインに「トレ・ビッキエーリ・プラス」、そして特に環境を大事にしてつくられたワインに「トレ・ビッキエーリ・ヴェルデ」の二つの特別賞が新しく登場しました。

トレ・ビッキエーリは各州ごとに選抜されます。例年をとおして入賞するワインもあれば、年によって外されるワインもあり、ひきこもごもといったところでしょうか。これはエリアごとの気候の違いによって、ブドウの作柄にも影響がでるため、醸造スタイルのみの理由とはいえません。



ガンベロロッソ以外で私が参考にしているガイドブックは、「DUEMILAVINI」ドゥエミラヴィーニ、「I Vini di Veronelli」イ・ヴィーニ・ディ・ヴェロネッリ などです。

DUEMILAVINI 「ドゥエミラヴィーニ」は、イタリアソムリエ協会が公式に発行しているイタリアワインガイドブックで、やはり毎年10月下旬に発売されます。評価はブドウ(イタリア語でグラッポーロ)の数で表され、ドゥエ・グラッポーリ、トレ・グラッポーリ、クアトロ・グラッポーリ、チンクエ・グラッポーリと2~5つのブドウの数で選抜されます。2011年度版では390種のチンクエ・グラッポーリのワインが掲載されました。またボトルマークの傾き度によって、飲み頃かどうかがわかる仕組みになっています(垂直:今~あと2年、斜め:今~あと3~5年以上、水平:今~少なくともあと5年以上)。またこの本では、2007年度版からレストラン評価も始めており、こちらはタストヴァン(ソムリエ道具のひとつでテイスティングをするための銀器)の数で表されています。



I Vini di Veronelli 「イ・ヴィーニ・ディ・ヴェロネッリ」は、イタリア食文化の世界において、計り知れない功績を果たしたワインジャーナリストのルイジ・ヴェロネッリ氏(1926-2004)によってつくられたワインガイド本です。他のガイドブックと一番違うのは、もっとも多くの生産者を紹介していることで、各ワインについてのコメントはありませんが、生産者情報を知る有益でかつコンパクトにまとめられたガイドブックとしてプロの間で定評のあるガイド本です。評価は★の数で決められ、星を意味するイタリア語ステッラによる、ウナ・ステッラ、ドゥエ・ステッレ、トレ・ステッレ、そして最高賞のスーパー・トレ・ステッレとなります。



2012年度版では557種類のスーパー・トレ・ステッレが掲載されました。

審査員が特に感動したワインには太陽マーク「イル・ソーレ」が付けられ、毎年20本程度が選ばれます。





壬生有香の「美食画報」 TOPへ >>
美通信 コンテンツ一覧へ  >>