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vol.11 ポインセチアはクリスマスの花?


街がクリスマスで彩られるようになると、クリスマスツリー以外に、必ずと言っていいほど見かけるようになる植物があります。それは、ポインセチア。みなさまの中にも、ポインセチアを見るとクリスマスが近づいてきたと感じる方もいらっしゃることと思います。


ポインセチアといえば、赤のイメージが強いですが、最近は様々な品種があります。ピンクやクリーム色、また赤の中にもようのように色の混ざったものや、まるく縮れてグローブのような形をしているものなど、これもポインセチアなのかと驚いてしまうものまで、バリエーション豊かです。



このポインセチア、クリスマスに出回る植物とはいえ、寒さにはあまり強くない植物です。それは温暖な気候であるメキシコが原産だからなのです。日本の冬では、外に置かれるのにはあまり向いていませんから、お部屋の中に飾って楽しんでくださいね。そして、花のように見える大きく開いた赤い部分、あれは花びらではなく葉(苞葉ほうよう)なのです。茎の頂点部分に小さくつぶつぶのものがついていますが、これが本当の花です。


原産地メキシコでも、クリスマスの時期になるとポインセチアが赤く色づくようになり、ポインセチアはクリスマスの花として知られています。お庭に植えられたポインセチアが、3メートルから5メートルと立派に大きく育っているお宅も多いのだとか。鉢植えしかお目にかかることのない私たちにはなかなか想像しがたい光景ですね。メキシコでは、ポインセチアはノチェ・ブエナと呼ばれます。ノチェ=夜、ブエナ=素敵な、という意味でつまり「聖夜」を意味する花なのです。聖夜といえばクリスマスのことですから、まさにクリスマスの花ですね。


昔から、枝の切り口から染み出る白い液を解熱剤などの薬として、また赤や紫の染料として、観賞用としてメキシコの人々に愛されていたポインセチア。原住民からは、その赤い色から純粋性のシンボルとされていたそうです。17世紀に入りキリスト教の僧たちがポインセチア起源の地であるタスコ付近に住みつくようになりましたが、ポインセチアはその色と咲く時期から、またキリストの流した血の色、情熱を表わす「赤」と、永遠の命を象徴する「緑」を持つということで、キリスト誕生祭の行列に使われるようになったのです。


そんなポインセチアが世界的に知られるようになるのは、アメリカ人のメキシコ駐在大使、ポインセット氏の功績です。彼は外交官でいながら優れた植物学者でもあり、メキシコに自生していたポインセチアを発見し、園芸用に改良しました。この功績がたたえられ、氏の名前から「ポインセチア」と命名されたといわれています。そしてアメリカにもたらされたポインセチアは、その後世界中に輸出されるようになるのです。


日本にポインセチアが初めてもたらされたのは、明治時代のことです。その赤い色から、猩々木(ショウジョウボク)と名付けられました。今ではショウジョウボクの名で呼ばれることはめったにありませんが、ちなみにショウジョウとは、大酒飲みでサルのような赤い顔をしている伝説上の動物のことです。


ところで、ポインセチアにまつわる伝説がメキシコには残されています。ここでその伝説をご紹介しましょう。

~~むかしむかし、メキシコに貧しい少女が住んでいました。あるクリスマスイブの夜、少女は親戚と一緒に教会に行きました。ところが、貧しくて神への贈り物を捧げることができない少女は悲しくてなりません。しかし親戚に「何もなくても君の誠実な愛を神に捧げれば、神様は、それを受け止めてくださるはず!」と励まされた少女は、道端に咲いていた雑草をみつけ、それで花束を作ることを思いつきます。手に持った雑草の束を見て、情けない気持ちになりながらも、親戚の言葉に勇気づけられた少女は、教会の中へ入り、「キリストの生誕の情景」の前に雑草の花束を捧げました。すると、何ということでしょう!奇跡が起こり、その雑草の花束は、沢山の人々の目の前で、深紅の美しい花束に変わったのです。その日以来、このクリスマスに咲く、このメキシコ原産の深紅の花は、「ノチェ・ブエナ」(スペイン語で「聖夜」の意味)と、呼ばれるようになったのです。~~


スペイン語でのその名のごとく、ロマンチックなお話ですね。こんな伝説があると知ると、余計にポインセチアの花が持つ魅力に夢があるように思えてきます。クリスマスを彩る花、ポインセチア。出回るのは鉢がほとんどですが、切り花もありますのでアレンジメントとして楽しむこともできます。今年は、ちょっと珍しいポインセチアのアレンジメントでクリスマスを演出してみてはいかがでしょうか。




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