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vol.12 日本で最も大事にされる行事、お正月


一年の計は元旦にあり、などとことわざでも言われますが、新しい年を迎えるというのはすがすがしく、気持ちも改まるものです。1月1日の元日から3日の三が日には、ほとんどの会社がお休みになりますし、普段なかなかお休みが取れないという方でもお正月三が日は休みが取れる、という方は多いと思います。私たちにとってはこれが当然の感覚で、何よりもお正月は大切にされるお休みであり、親戚や家族で集まる機会ともなっていることでしょう。


しかし意外なことに、世界に目を向けてみると、お正月をここまで大事に祝っている国はなかなかないのです。もちろん、1月1日や新しい年が始まる日ですから、海外でもカウントダウンがあったり、新しい年になったことを祝って花火を打ち上げたりなど、イベントはあります。ただし、やはりキリスト教の国々では1月1日よりも、12月25日のクリスマスのほうが大切なお祭りとされているのです。家族や親戚と集まるのも、長い休暇が取れるのも、クリスマスですから、三が日という考え方はもちろんありません。欧米では、私たち日本人が考えるお正月休みの代わりにクリスマスがあるといっていいでしょう。そう思うと、現在日本ではクリスマスもお正月も楽しまれていますので、クリスマスのあと1週間もたたないうちに一気にお正月に切り替えるというのは、考えてみればあわただしい話です。実際、クリスマスディスプレイからお正月飾りへの切り替えが行われるので、年末というのは花業界が大変忙しくなる時期なのです。


さて、欧米だけでなく、中国・台湾・韓国・ベトナムなどでも、1月1日よりもずっと盛大に祝われるのは旧正月となります。これは、旧暦での1月1日のことで、現在の暦では1月の終わりごろから2月ごろにあたります。(旧暦は現在の暦と照合させると変動します)


このように、日本人にとって最も大切な行事であるお正月ですが、実は「正月」というのは「1月」のことを指しているのです。つまり、1月1日から31日までのことを正月というわけです。一般的な感覚では三が日のことを正月とさすようなイメージがありますが、先ほども申しあげました通り、1月1日から3日までのことは「三が日」、1月1日から7日までのことは「松の内」というのです。松の内については、地域によっては1月15日までのことを指すこともあるようで、これは、1月1日の元日を、「松の節句」と呼ぶこととも関連があるようです。


元日が松の節句と呼ばれるのは、みなさまご存じのとおり、正月飾りには松が使われることと関係があります。反対に、松の節句だからこそ松が飾られるわけですが、節句には、その時季にもっとも生命力の強い植物と飾ることで、その植物の力を借り、生命力を分けてもらうという意味があります。そういったなかで松は、一年中緑を絶やすことのない常緑樹で、未来を含んだ永遠の若さのシンボルです。また、長寿と健康のシンボルともなります。まさに新年を迎えるのにふさわしい花材であるといえるのです。



松飾りとしては、門松が多くのご家庭で飾られると思いますが、門松には大切な役割があります。お正月とは本来、新しい年から一年間家を守ってくれる歳神さまを迎える行事ですが、門松は歳神さまの依代(よりしろ)として、歳神さまが家に降りてくるための目印と考えられていたのです。また、門松だけでなく、松を生けておうちの中に飾る方も多いと思います。最近は、花屋さんでも松が入ったアレンジメントなどが販売されていますから、そういったものを利用して、気軽に松を飾ってお正月気分を味わうのもいいかもしれませんね。


この松飾りをはじめとしたお正月飾りですが、いつ飾るかというのが決まっています。27日、28日あたりに飾るのが良いといわれていますが、これは、29日に飾ることを「九日飾り」といって縁起が悪いと、また31日に飾ることは「一夜飾り」といって、歳神さまを迎えるのに一夜だけのお飾りでは誠意に欠ける、ということで昔からきらう風習があるからなのです。このようなことにも注意して正月飾りをし、気持ちよくお正月を迎えたいですね。


ちなみに松を扱うと、マツヤニが手についてしまうことがあります。これを落とすには、ベンジンを含ませた布で拭くと簡単に落ちますので、もしついてしまった場合には試してみてください。


いかがでしたでしょうか。今回はお正月について、海外との比較も交えさらってまいりましたが、次回はより詳しく、お正月飾りについてご紹介してまいりたいと思います。




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