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vol.83 パリの大御所フローリスト


ジョルジュ・フランソワ氏の本



今回、ご紹介する本は、
誠文堂新光社発行「ジョルジュ・フランソワの花の教科書」
私が編集と文章を担当しています。
パリのモンパルナスにフラワーショップを持つ、
ムッシューこと、ジョルジュ・フランソワさんの作品集です。
全32作品プラス日本を代表するデザイナー高田賢三さん邸でのフラワーデコレーションの写真が載っています。
作品の作り方やムッシューフランソワの創作の源など、
パリの魅力とともに色々な角度からムッシューの作品をとらえるようにしました。

ムッシューは20歳前半にサンジェルマンにはじめての自分の店をオープンさせてから、
75歳の現在まで、パリ花業界の中心として活躍されています。
2001年には、銀座のメゾン・エルメスのオープンセレモニーの花装飾のために来日もしています。
この来日以来親日家になったムッシューフランソワは、日本でも多くのファンを持ち、
日本の雑誌に、その魅力ある作品を紹介しています。



ムッシューフランソワのブーケ・ロン。
フランス語で丸いブーケという意味です。
このブーケは2010年に撮影させていただいたもの。
8年たった今でも時代の変化をまったく感じさせない作品です。



高田賢三さん邸で、フラワーデコレーションの作業中のムッシュー。

何と言っても、ムッシューの作品の魅力は、彼のゆるぎない世界観のすばらしさだと思います。
作品だけでなく、彼の店での注文もすべて、ムッシューフランソワの世界を大切にして、
制作されています。
それは、クライアントの注文をないがしろにすると言う意味ではなく、
クライアントの希望を十分考慮に入れた上で、自分の世界観の表現にベストを尽くすということです。



ムッシューの世界は花だけにとどまりません。
彼が作品を制作する上で、アンティークやブロカントのものは欠かせないアイテムです。
暇な時間を見つけては、蚤の市へと足を運びます。
器と花、そして作品の周りに配置された小物すべてが、ムッシューの世界を表現しています。
彼のモンパルナスのブティックには、フランス中から集めた古い雑貨が、店内に所狭しとディスプレィされています。

同じフローリストとして、私が感じることは、
彼の作品はただ美しいとか、きれいとかだけではなく、
いつの間にか心をつかまれるような魅力を持っているということです。
それは作品の力強さや発想の豊かさといった花そのものから感じるものもありますが、
常にジョルジュ・フランソワとして最高のものを作るという彼の気持ちと自分の求める世界にまったくブレがないところから生まれてくるものだと思います。
花屋という仕事は、世の中の流行やクライアントの要望に左右されるものです。
また、栽培される花も毎年のように新種がでたり、変化も多くあります。
そのような仕事の中で、長い間自分の世界を変えず、確立していくことは本当に難しいことです。



モンパルナスのブティック

昨年一年間、この本の制作のために何度かパリに通い、
ムッシューフランソワといっしょに多くの時間を共有することができました。
彼の長年の経験と技術はもちろん尊敬に値するものですが、
共有したかけがえのない時間の中で、
何より、彼の人間としての魅力が周りの人を惹きつけ、
人の心をつかむ作品を作っていることを改めて感じさせられました。
ぜひ、ジョルジュ・フランソワ・ワールドを覗いて見てください。

「ジョルジュ・フランソワの花の教科書」は Amazonで購入できます。


Georges françois Fleurs
https://georges-francois.fr/





・森 美保【オフィシャルサイト】

http://www.arrierecourune.com/




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