vol.90 真夏の花いけ



庭にいると、
早くもセミや蜩の声が聞こえてします。
季節はもう真夏。
今年は暑くて長い夏になりそうです。



今、インスタグラムで人気なのが、ドウダンツツジ。
昔から生け花の花材などに用いられている、
花屋にとってはとても馴染みのある枝ものです。
漢字では灯台躑躅と書きます。
枝分かれしている様子が、灯台の足の部分に似ているとかで、
トウダイがドウダンに変わっていったとか。

庭木としても非常に一般的で、
春にスズランのような白い花を咲かせているのを人さまのお庭でよく見かけます。
花屋さんで売られているドウダンツツジの多くは“山採り”と言って、
山に自生している木の枝を切って市場に出荷するもので、
ヒロバドウダンツツジとう名で、
庭木のドウダンツツジとは少し種類が違うようです。
“山採り”は誰でもできるものではなく、
国から鑑札をいただいた枝ものの生産者さんが山の手入れをしながら、
世話をして育てているもの。
この鑑札は代々家に伝わり、親から子へ受け継がれるものらしい。



山に自生する姿を想像して、
ドウダンツツジが枝を広げたように自然に花瓶に投げ入れてみました。
枝には表と裏があります。
花瓶挿して、クルっと裏を向いてしまうようなら、左右逆側にして、
自然に表を向くような位置に挿し直しましょう。
枝ものをいけるコツは、自我を捨てて枝の自然な様に任せること。
枝が導く通りに活けていくことが大切です。
自然なその姿は青々して、涼しげ。
どんなインテリアにも相性がいいのが、人気の秘密かもしれません。
そして何より、暑い夏でも大変花持ちがいい!
良く手入れをすれば、2,3週間は大丈夫。
お手入れの基本は、小まめな水替えと枝の切り口を切り返して、
新しくしてやることです。



脇の小枝を庭から切っていけた秋色アジサイに挿してみました。
秋色アジサイも夏に花持ちの良い花材のひとつ。



微妙な色が混じり合って、独特の雰囲気が。
秋色と言われるように、枯れたようなスモーキーな色合いが特徴。
実際、咲き始めは鮮やかなブルーだったのが、
咲き進むに従って、徐々にスモーキーな色に変わっていきます。



これは2週間前に切った同じ株のアジサイ。
切ったばかりの時はもっと鮮やかなブルーでしたが、
木に残った花は、同じアジサイとは思えないほど時間とともに色が変わっていきます。
これも、アジサイの魅力のひとつです。
ちょうどいい色合いになった時、花を切って部屋に飾るのがいいですね。
秋色アジサイを育ててみたい方は、
お花屋さんで色の変化をする品種であることを確かめて、
購入してくださいね。

真夏到来で、このアジサイが終わると、
残念ながら我が家の庭の花もしばらくお休みです。
今年は厳しい夏になりそうです。
どうぞお身体、大切に!





・森 美保【オフィシャルサイト】

http://www.arrierecourune.com/




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