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vol.110 小さな個展

東京、銀座にあるプライベートギャラリースペースで開催された、
「梵字で宇宙へ 日夏香」という書の個展に行ってきました。
梵字を描かれた日夏さんとは、
チャリティーローズKIZUNAの支援でお会いしました。
生まれ故郷である福島県いわき市の被災者に寄り添う様々な活動を、
個人的にされているバイタリティーのあふれる素敵な女性です。
現在、私たちもKIZUNAを通して、日夏さんのお手伝いをさせていただいています。

日夏さんの作品は“書”という範ちゅうに収まらないダイナミックなもの。
今回の個展では4点の作品が展示されていました。

この作品は梵字で「ありがとう」と書かれたもの。
「ありがとう」の真ん中の文字はまるで人が手をついてお礼をしているように見え、
力強い筆使いの中にやさしさが伝わってきます。
大きすぎて掛け軸に収まらず、額になってしまったという作品。
ダイナミックな中に繊細さを感じさせ、
日夏さんのお人柄が一番出ていているようで、私はこの作品が一番好きです。
梵字とは、インドで使われているブラーフミー文字の漢訳名と言われているそうです。
と言われても???ですが、平安時代に仏教の伝来とともに日本伝わった文字で、
ネットで検索すると、梵字は神仏を表し、神聖な力を持っているという記述もあるくらい
特別な文字のようです。
我々の生活の中では法事のときにお墓の後ろに立てるお塔婆で目にする機会があると思います。
密教との結び付きも深く、そういえば、先日鑑賞した東寺の曼荼羅にも描かれていました。

「生命」
命が生まれる瞬間を描いたようなわき上がるパワーを感じさせてくれます。

「宇宙」

この作品は立体アート。
“宇宙 生命が誕生して、その宇宙をどのように表現したらと考えついた「うず」に引き込まれる様を描こうと出来た作品”(日夏さんのごあいさつの言葉より)
この作品には、いわき市も大工やインテリアの方々やその奥さまなどのご協力で完成したものだそうです。

作品裏側は、個展開催中毎日一文字ずつ日夏さんが来場者の方々と一緒になって、
描き、最終日に完成する予定だそうです。

日夏さんは通常の筆ではなく、日本画用の刷毛で文字を書くそうで、
来場された方々一人一人にその刷毛使いをパフォーマンスしてくれました。

個展開催中はテーマに合わせて尼僧の袈裟に身を包み、ネイルも梵字アート!
作品展というより、ご自分の世界を全身で表現されているまさに日夏香展。
第6回目となる今回の個展。
毎回2年をかけてテーマを決め、構想を考え、制作をされているそうです。
ワインが好きで、明るくて周りの人をいつも大切にされている素敵な女性。
一方で自分を表現する別の世界を持つ、またそれが他人を喜ばせる。
実に魅力的な年の取り方をしていると思いませんか?
隔年で催される個展。
日夏さんの2年間が詰まっているようで、
次回はどんなパフォーマンスで私たちを愉しませてくれるのか、
今からワクワクします。
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