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vol.20 幸せを呼ぶ花、スズランの日


スズランといえば、かわいらしい釣鐘型の白い花を可憐に咲かせることは、皆様もご存じでいらっしゃるでしょう。大変かわいらしいので私も好きなお花の一つですが、とくにヨーロッパでは、5月1日は毎年「スズランの日」といわれ、町中がスズランであふれかえります。今回は、そんな「スズランの日」とスズランの花について、ご紹介いたしましょう。



5月1日というと、まず思い浮かぶのはメーデーではないでしょうか。労働者のための日、ということで、日本でもデモなどが起こることがありますが、フランスでは盛んにデモが起こる日でもあり、ほとんどのお店がお休みになる祝日となっています。そんな中、スズランの日でもあるこの日には、たくさんのお店が閉まっている中、花屋さんだけではなく、至る所にスズランを売る屋台が現れるのです。なぜかといいますと、スズランの日とは、自分の愛する人やお世話になっている人にスズランの花を贈る日、だからです。フランスが発祥ですが、今ではイギリスやドイツなどでも5月1日はスズランの日となっています。



スズランの花は幸福を連れてくると言われていて、フランスでは花言葉も「幸せの再帰」です。ですから、この日にスズランの花を贈られた人には幸せが訪れるといわれています。誰に贈ってもよいとされているのですが、いつも使っている駅の駅員さんに突然スズランの花をもらったことがあるというパリ在住の友人は、さすがにそれには驚いた、と言っていました。男性から女性にスズランが贈られるとき、それは愛の告白の意味もあるといわれていますので、その駅員さんは彼女に恋心を抱いていたのかもしれません・・・。



もともと、ケルト人たちからも、春を告げる花として大切にされてきたスズランですが、この5月1日にスズランの花を贈るという風習は、フランス国王シャルル9世から始まったのだそうです。シャルル9世は、幸せをもたらす王と慕われていましたので、1561年5月1日に、その象徴として、幸せをもたらす花であるスズランの花束をプレゼントされました。それを大変気に入った彼は、それから毎年5月1日に宮廷の貴婦人たちにスズランの花束を贈るようになったのだといわれています。



しかし一般にこの風習が広まったのは19世紀の終わりごろからです。そして、森にスズランの花を摘みに行く人も次第に多くなってゆきました。今では、誰でも5月1日には許可なども必要なくスズランを販売することができるので、パリ郊外の森で摘んできたスズランを屋台で売っている人も多いようです。ただし、花屋さんから100メートル以上離れたところで売ること、そしてスズランは根のない、森で摘んできたものであることなどの規則はあるようです。ですので、こういった屋台で売られているスズランは、何本かを束ねた小さなブーケであることが多いです。森で摘まれたものは、一般に栽培されているものとは違って、香りがより強いのだとか。花屋さんでは鉢植えや、ほかの花と一緒にアレンジされたフラワーアレンジメント、花束などが売られています。そうです、スズランは、その香りも魅力の一つなのです。バラやジャスミンと並んで、三大芳香といわれていて、香水の原料にも古くから利用されています。



ところで、日本にも日本原産のスズランがあります。北海道がスズランで有名なのをご存知の方もいらっしゃると思いますが、主に北海道と、本州でも山地などで見られます。しかし、この日本のスズランと、いわゆる一般に鉢植えや切り花で出回るスズランとは別物です。一般に出回っているのはドイツスズランというヨーロッパ原産の種で、もちろんヨーロッパで広く出回っているのもこのドイツスズランです。日本のものよりも、ドイツスズランは花が大きく、香りが強いのが特徴です。



そんなスズランのブーケは、楚々としてあまり派手ではない印象がありますが、スズランのブーケを贈られた花嫁は幸せになる、といわれています。実際、多くのセレブリティたちがウェディングブーケにスズランを選んでいます。モナコ妃グレース・ケリー、オードリー・ヘップバーン、エリザベス・テイラー、そして最近では、イギリスのロイヤルウェディングでキャサリン妃もスズランのブーケを持っていました。インターネットでも写真が探せると思いますので、お時間があるときにぜひ見てみていただきたいのですが、特に私が印象深かったのはグレース・ケリーのウェディングブーケです。ドレスもクラシックで、シンプルなブーケは、かえって大変引き立って見え、衝撃を受けました。



最近は日本でも少しずつ、スズランの日が取り入れられてきていますので、今年の5月1日、みなさまも幸せの花、スズランを大切な方にお贈りになってみてはいかがでしょうか。




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