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vol.22 ラヴィアンローズ~バラのお話~


数多くある花の中でも、誰にでも知られていて、いつの世も変わらず愛されてきた花といえば、皆様どんな花を想像なさるでしょうか?愛と美の象徴として、人類は4000年以上も昔から、バラを愛してきました。「美しいものにはトゲがある」「バラ色の人生(ラヴィアンローズ)」など、バラにまつわる慣用句も多く、また、古くから絵画に描かれたり、テーブルウェアの絵柄として描かれたり、ジュエリーやアクセサリーのモチーフとされるなど、バラは私たちに人類にとって、なくてはならない花として存在し続けているのです。私も、日ごろ数多くの花と触れ合っていますが、バラはやはり大好きな花のひとつです。今回は、そんなバラについてお話しさせていただきます。



世界中、さまざまな国で愛されているバラ。イギリス、アメリカ、ポルトガル、ブルガリア、モロッコなど多くの国で、国花となっています。パリに滞在していた際、フランス人が大好きな花も、やはりバラだと強く感じました。日本でも、花束など切り花だけではなく、ガーデニングでも広く楽しまれていますよね。



しかし皆さまがご存じのとおり、バラの楽しみ方は花そのものだけではありません。食用として、ジャムやお茶、お菓子に入っていたり、花びらがエディブルフラワーとして、お料理などに使われることもあります。また、香料としての利用も盛んです。バラの香りはなんともかぐわしく、高貴な雰囲気がして、女性らしさを引き立ててくれるものですが、この香料の採取を目的として栽培が盛んになった国や地域もあります。ブルガリア、モロッコ、南フランスのコートダジュールなどがその代表で、高級で上質な香料の産地として有名です。



さて、冒頭で申しあげました通り、人類とバラの歴史は古いのですが、ここでバラを愛してやまなかった歴史上の人物をご紹介しましょう。



一人目は、エジプトの女王クレオパトラ。エジプトでは古くから、バラは高貴な花として王侯貴族の間で珍重されていました。バラで香水をつくり、お風呂に入れたり、お化粧に使ったり、贈りものにするなど、香料としても使われていたようです。クレオパトラもそんなバラを愛好していて、バラの花びらをしきつめたベッドで寝たり、お風呂を花びらでいっぱいにしていたという話は有名かと思います。



クレオパトラと同様にバラを愛した古代ローマの皇帝が、暴君といわれる第5代皇帝ネロです。彼が開いた宴会では、庭園も部屋の中もバラであふれんばかりに飾られ、料理にもバラの花がふんだんに使われていたのだとか。



そして、バラの栽培に功績を残したといえるのが、フランス皇帝ナポレオンの后であるジョセフィーヌです。彼女は、ナポレオンが戦争をしている間にも、敵国とバラに関する情報を交換したり、原種を取り寄せるなど、ヨーロッパだけでなくアジアなど世界中からバラを収集し、バラ園を作りました。そしてベルギー出身の宮廷画家ルドゥーテに「バラ図譜」を描かせました。植物学者でもあった彼の描くバラは大変精密で、芸術としてはもちろん、植物学においても重要な資料となっています。



英語でもフランス語でも、バラは「Rose」と表記されますが、日本語の「バラ」という名はトゲのある低木のことを表す語である「イバラ(茨/荊/棘)」から「イ」が抜け落ちてその名がついたのだそうです。昔は「イバラ」も「バラ」も同意語であったようですが、今では「バラ」といえば花の美しい西洋バラのことを指すようになりました。



バラの品種改良は大変盛んで、毎年のように新しい品種が発表されています。色も単色ではなく色が混ざったものや花びらの表と裏の色が違うもの、花びらの形もフリルがあるようなものやとがったかたちのもの、咲き方もたいていのバラは八重咲きですが一重のものもありますし、香りの強いものや弱いものなど、大変バリエーション豊かです。中でも、「青いバラ」というのは作るのが大変難しく、昔から多くの園芸研究家によって探求され、夢の品種とされてきました。ですから英語でblue roseというと、「不可能」という意味があるほどです。それが近年の遺伝子研究によって、日本のサントリーフラワーズとオーストラリアの植物共同研究企業によって、ついに青いバラが作られるようになりました。実際に目で見ると薄紫のような色ではありますが、2009年より日本全国で流通するようになり、世界からも注目されている品種です。



いまも昔も、私たちを魅了し続けるバラ。主に初夏が旬ですが、秋にも、多くのバラ園で花が盛りを迎えます。観賞しても、香りも、食用でも楽しめる美しいバラのパワーを借りて、皆様も女度によりいっそう磨きをかけてみてはいかがでしょうか。




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