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vol.28 トルコからきたキキョウの仲間?トルコキキョウの真実


まだお花を始めて間もないころだったでしょうか、トルコキキョウという花の名を初めて聞いたとき、和洋折衷のようなその名に、不思議な感覚を覚えた記憶があります。皆様は、トルコキキョウという花にどんなイメージをお持ちでしょうか?今では年中出回っており、ウェディングブーケやパーティー装花、葬儀など、冠婚葬祭のシーンはもちろん、さまざまな用途に用いられていますので、知らないうちにトルコキキョウに出会っているかもしれません。私も、自分が好きな花というのもあって、使う機会の多い花です。何せ、主役にも脇役にもなれる花ですから、活躍のチャンスが多いのです。私がパリで修行をしていたときにも、トルコキキョウはバラに次ぐ頻度で登場していたような気がします。日本でも、フランスでも愛されるトルコキキョウ。その魅力に、迫ってみましょう。



トルコキキョウは、トルコギキョウ、と呼ばれることもありますが、名前からして、あのヨーロッパと中東を結ぶエキゾチックな国、トルコ共和国に関係あるのだろうと思わずにはいられません。しかし、これは単に日本にもたらされたときについた和名で、実はトルコとは全く関係なくつけられたものだそうです。なぜこのような名がついたのかは諸説あり、はっきりとはわかっていないのですが、花の形がトルコ人のターバンの形に似ていたから、また、もともとのトルコキキョウの色である青紫色がトルコ石や地中海の色を連想させるから、などと言われています。実際にはトルコから遠く離れた、北アメリカが原産の植物です。



また、トルコキキョウの名前の不思議はもうひとつあります。キキョウとは関係がないのに「キキョウ」とついているのです。キキョウに花の形が似ていたから名づけられたと言われていますが、実際はリンドウ科です。花が開くと大変華やかですが、つぼみをよく見ると渦を巻いたような形をしていますので、リンドウの仲間なのだと気が付くことができるのではないでしょうか。



英語やフランス語では、ユーストマもしくはリシアンサスと呼ばれています。19世紀ごろ、アメリカからヨーロッパに持ち込まれた際、つけられた学名がリシアンサスだったので、その名残でそう呼ばれているようです。私の知る範囲では、フランスではリシアンサスと呼ばれていました。のちに学名が改められ、現在ではユーストマとなっています。ちなみに、ユーストマとはギリシャ語で「良い口」という意味で、釣鐘状に咲く花の形からついた名だと言われています。



トルコキキョウは、先ほども申しあげたとおり北米が原産の植物ですが、その品種改良は日本で盛んに行われており、日本が誇れる花の一種でもあります。もともとは、一重咲きのものが和の雰囲気があり好まれましたが、今では八重咲きのものが大変多く出回っています。単に八重咲きというだけではなく、花びらにフリルが入っていてロマンチックな印象のものや、紫、ピンク、黄色、白、グリーン、オレンジ系のアプリコットカラー、縁取りの入ったものなど、色のバリエーションも多く、多様な表情を見ることができます。



八重咲きの見事なものは、一輪の花の大きさもなかなかなので、バラと間違われるお客様も多くいらっしゃるほどです。葉の形なども違いますが、バラの花との大きな違いは、トルコキキョウの方が花びらが薄く、茎も細くて折れやすいということ。迷ったら、花びらと茎をよく見てみてくださいね。



どんな花とも相性のいいトルコキキョウですが、主役にして生けるときには、トルコキキョウよりも花が小さなものを一緒に選ぶようにすると、トルコキキョウがより引き立ちます。一本の茎から複数の花がついているスプレー咲きですので、一種類で生けても、華やかさが出ます。脇役にして生けるときには、主役となる花よりも数を少なくしたり、長さを短くしたりして、主役の花と花の間をトルコキキョウで埋めるようにすると、主役の花がより引き立ち、さらにトルコキキョウの魅力も出せるのではないかと思います。アレンジメントでは、小さくかわいらしいつぼみもアクセントになりますので、生かしていただきたいポイントです。



トルコキキョウは、持ちの良い花としても知られています。暑い時期に旬を迎える花は、過酷な環境に耐えやすいということで長持ちするものが多いのですが、トルコキキョウもそのひとつです。一年中手に入る花と言っても、野菜と同じように、旬のものはやはり勢いがあり、持ちが違います。暑い時期に長持ちするお花は貴重ですので、ぜひ試してみてください。




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