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vol.33 実はとっても多様な植物、ラン


ランというと、高級な花というイメージがある方も多いかもしれません。バブルの頃を象徴するように流行したカトレアや胡蝶蘭(コチョウラン)など、実際に高価なものも多いのですが、鉢でも切り花でも比較的長く花が楽しめるので、お店のオープンなどお祝いの際に胡蝶蘭の鉢を贈るといったように、好まれるシーンの多い花です。しかし、実はランは華やかなものだけではなく、さまざまな顔を見せてくれる植物なのです。



世界中には、実に多くの種類のランが生息しています。その生息地域も大変広く、北から南まで、氷河と砂漠以外のほとんどの地域でランを見ることができる、といわれるほどです。現在、20,000~25,000ものランの仲間が存在するといわれていますが、正確な数は把握できていないそうです。さらに人の手によって品種改良や交配された種を入れると、とんでもない数のランの品種が存在することになります。一説には、地球上に存在する植物の一割はランの仲間なのだとか。私たちが普段目にしているランは、いかにその中のほんのわずかなものかと、驚いてしまいますよね。中でも、栽培が盛んであったり、多くの種が自生したりしているのは、熱帯アメリカ、熱帯アジア、熱帯アフリカの3つの熱帯地域となっています。



ランの花は、よく見てみると、大変特徴的な形をしていると思いませんか?同じ花の中に異なった形をした花びらがあり、下に向かって動物の舌な不思議な形をしたものまで付いています。これはリップと呼ばれ、このリップや、左右対称に花を咲かせることがランの大きな特徴となっています。



日本ではおおまかに、ランを洋ラン・東洋ランの二つに区別しています。洋ランとは西洋ランのことで、西洋から入ってきたラン、ということです。18世紀ごろから、熱帯地域のランがヨーロッパに持ち込まれ、広く栽培されるようになったものが明治時代になって日本にもたらされたことからそう呼ばれています。洋ランは華やかな印象を与えるものが多く、また温室が必要であるなど栽培が難しかったことから、高級な花として知られるようになったようです。



主に出回っている品種としては、先ほどご紹介した、ランの中でもいっそう華やかで大きな花を咲かせ「ランの女王」ともいわれるカトレア、花の形がチョウが舞っているように見えるということからその名がついた胡蝶蘭(ファレノプシス)、冬の贈答用として鉢が出回ることの多いシンビジウム、切り花ではデンファレと呼ばれる品種がありトロピカルな雰囲気も漂うデンドロビウム、はっきりとした黄色の花が特徴のオンシジューム、ランの中でも珍しく青やムラサキといった鮮やかな色をもつバンダ、個性的な形や模様をしていて色も大人っぽいパフィオペディラムなどがあります。これらは、切り花は輸入ものもあるためほぼ一年中手に入りますが、鉢ものは胡蝶蘭以外のものは、シンビジウムは冬、など季節が限定されるものもあります。



では東洋ランとはどういったものかといいますと、日本と中国に自生するランの仲間のことで、東洋生まれのラン、という意味です。春蘭、富貴蘭など、日本には200~300種ものランが生息しているといわれており、古くから栽培、観賞されてきました。西洋ランのような華やかな印象はありませんが、独特な雰囲気があり、エビネ、サギソウなど、山野草として楽しまれるものもあります。また、花ではなく葉を楽しむ種があるということが、東洋ランと西洋ランの大きな違いでしょう。中国でも、古くから独自の基準のもと観賞されてきたようです。その証拠に、中国ではランは「植物の四君子」として、竹・梅・菊とともに称えられています。



品種によりますが、ランの仲間には香りのよいものが多くあります。シンビジウムなどは、切り花でもやさしい香りがします。というのも、蘭は虫に頼って受粉をする植物なので、香りによって虫たちを呼び寄せているわけです。私たち人間を楽しませるための香りではないわけですから、中にはぎょっとするような匂いのものもあります。また、ほとんどのランは観賞用で食用ではありませんが、唯一、ランの仲間で香料として食用に使われるものがあります。それは、バニラ。黒くて細長いスティックのようなあのバニラは、バニラの花の種子の「さや」なのです。まさかバニラがランの仲間とは、ちょっと意外なトリビアです。



最近はランの切り花も身近になっています。ちょっとお部屋に添えて、ゴージャス感を楽しんでみてはいかがでしょう。また、東京ドームの「らん展」など、展示会では珍しい花も見られますので、ランの新しい魅力に出会えるかもしれませんよ。




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