vol.19 花の都、京都



季節外れの長雨の中、ソメイヨシノの花びらはすっかり飛ばされて、葉桜となり、
それに代わるように、東京では八重桜が咲き始めました。
桜と言えば可憐なソメイヨシノ、たわわな花が美しい八重桜といったところですが、
京都の桜は多種多様。色々な種類の桜を楽しむことができるそうです。
遅咲きの桜を追って、京都を訪ねました。



まず向かったのは、上賀茂神社。
斎王桜という見事な紅しだれ桜です。
樹高は10メートル、壮麗な姿に、つい写真を撮りたくなります。



花一輪一輪はとても可憐で、花びらの紅色が愛らしいかわいい花です。
斎王とは巫女として奉仕した内親王を指す言葉で、まさしく美しき乙女の姿のようですね。



上賀茂神社、楼門前の賀茂桜です。
朱色の門をバックに、白い花がよく映えます。
葉もほどよく芽吹いて、日本の美といった風景です。



仁和寺の御室桜(おむろざくら)。
背丈の低い桜なので、すぐ目の前に満開の桜が広がります。
粘土質の土壌のため、土に酸素や栄養分が少なく、桜が十分に根を伸ばせないため背丈が低いようです。
とは言え、江戸時代から庶民の桜として親しまれてきたそうで、桜の間を縫うように進んでいくと、ほのかに桜餅の葉の香り、花よりだんごを連想させる親近感のわく桜です。



鴨川沿い、半木(なからぎ)の道。
心地の良い遊歩道になっていて、800メートルに亘って紅しだれ桜が続きます。
訪れた人たちは思い思いに立ち止まっては、花の美しさを楽しんでいました。



竹で支えられた枝の下を歩くとまるで桜のトンネル、手が届きそうなくらいです。



そして最後は、日本最大のいけばなの流派である池の坊の総本山六角堂のしだれ桜です。
ちょうど桜の時期とあって、いけばなの展覧会の行われてたいへんな人出でした。

京都で見られる桜は20種を越え、まさしく平安の時代から続く花の都です。
昔の人は次から次へと咲く桜を一カ月にわたって楽しんだそうです。
何とうらやましい!
咲く場所により、それぞれの表情を見せてくれる桜。
日本が誇る花の都、京都の桜は“愛でる”というにふさわしい見事な美しさでした。




・森 美保【オフィシャルサイト】

http://www.arrierecourune.com/




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