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vol.36 ボタニカル・アート展 2




パナソニック汐留ミュージアムで開催中のイングリッシュ・ガーデン 英国に集う花展はなかなか盛り沢山な内容でした。


先日この展覧会の関連プログラムのひとつ、大場 秀章先生(東京大学名誉教授)の講演会「ボタニカル・アートの魅力」に参加してきました。
大場先生は植物分類学、植物文化史がご専門で、多くの著書があります。

講演では、ボタニカル・アートの歴史、過去のアーティストたちにまつわる講義を1時間半にわたってお話してくださいました。
前回、ボタニカル・アートはルネッサンスから?と書いてしまいましたが、
そもそも植物画の発祥はギリシャ時代まで遡るそうです。
その頃は植物という3次元のものを2次元の絵画で表現することがまだまだ技術的にむずかしい時代だったようです。
ルネッサンス期に入っても、部分々々は写実的に描けるようになっては来ましたが、全体には不自然な作品も多く、写真の役割のようになったのは、17世紀に入ってからということ。
そして、ボタニカル・アートと呼べる芸術性の高い作品が誕生してくるのは、18世紀中葉以降で、絵画もこのように時代とともに発達、変化していくのですね。
現在では多様性を視覚的に提示する科学的芸術ととらえられているそうです。
何だか難しいお話になってしまいましたが、
私たちも植物を愛でるだけでなく、その姿をスケッチすることで、
今まで目に見えてない植物のようすがわかって、科学的な理解も深まるということでしょうか?
確かに花を仕事にしている私でさえ、展示されたボタニカル・アートを眺めていると、よく知っている花のはずなのに全く違ったように感じられました。
ちなみにボタニカル・アートにはいくつかのお約束があるようです。

ボタニカル・アートとは、科学的に正確に、かつ美しく描いた植物の絵。
●1枚の紙に1種類の植物を描く。
●実物大に描く。拡大縮小する場合は倍率を表記する。
●葉、花、茎、根、実など、各部の特徴を細かく観察し正確に描く。
●解剖図、切断図、部分図も1枚の紙に収める。
●季節を越えて、成長のいくつかの段階を1枚の紙に収める。
●基本的には背景を描き込まず、白いままに残す。
●水彩を用いて(古くは銅版画に着彩も)、色彩、質感、光沢を正確に表現する。
●正面から近接して描くので大胆な遠近はつけず、基本的には空気遠近法で描く
※注 空気遠近法
http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E7%A9%BA%E6%B0%97%E9%81%A0%E8%BF%91%E6%B3%95/
(参考:「植物画の世界にようこそ ボタニカルアート入門」)

そしてこの展覧会でもうひとつおススメしたいのが、ミュージアムショップです。
小さいスペースながら、魅力的な商品が並べられていました。
定番の展示販売されているクリアファイルやポストカードは、
もちろんボタニカル・アートですし、
お花に関する書籍も幅広く集められていました。


こちらは、Book Photo PRESS というレーベルの商品のコーナー。
イギリスで長く活動をされていた版画家杉山啓子さんの作品をミュージアムショップ向けの商品したものです。



これは2枚組のポストカードですが、このまま机の上にでも飾りたいくらい素敵。
ずっと眺めていると版画の世界に吸い込まれていきそうです。



これもやはり杉山さんの作品を使ったショールやミニクッションなどです。
アート作品をベースにしているのに、インテリアに溶け込むやさしい仕上がりです。
大作家の方たちの作品ではないので、どこか身近な感じがして堅苦しさを感じません。



同じ建物の1階にあるパナソニック リビングショウルームでもこの商品は使われていて、
インテリアづくりの参考になります。

お花が好きな方には、十分楽しめる構成になっています。
ランチ方々、出かけてみではいかがですか?
きっといい休日になりますよ!

Book Photo PRESS
本と写真 http://book-photo.jp/
Facebook https://www.facebook.com/bookphotopress





・森 美保【オフィシャルサイト】

http://www.arrierecourune.com/




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