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vol.45 美しい花の文様の楽器




チェンバロという楽器を知っていますか?
ピアノの元となったと言われるほど、旧い楽器なのですが、
実は音を作り出す仕組みが基本的にピアノとはまったく違うそうです。
ピアノはフェルトでくるまれたハンマーで弦たたいて振動させますが、
チェンバロは弦をはじいて音を出します。
ピアノは打楽器で、チェンバロは日本の琴のような撥弦楽器(はつげんがっき)です。
だから音の印象もまったく違います。
ピアノは強弱があり、ダイナミックにも繊細にも音を作り出し、
音と音が和音のように響き合うように聞こえるのに比べ、
チェンバロは強弱がなく、音と音が重なり合い、奏でるといった表現がピッタリくるようなやさしい印象です。
それもそのはず、弦を弾く爪は羽毛の軸の部分からできているそうです。
何とも優雅です!
チェンバロは貴族の楽器として発達したため、高価な装飾品でもあったようです。
そのような理由から、チェンバロの多くは美しい装飾が施されています。



グランドピアノを小さくしたような形で、
蓋をあけると美しい花の絵が描かれています。
油絵もはじめは板に描かれていたのを考えれば、
木で造られた楽器に美しい絵が描かれているのは、
何の不思議もありませんが、
このような花の絵をはじめて見た時は
あまりの美しさに感動してしまいました。



赤い花はバラでしょうか?
ピンクはケシの花のように見えます。



この日のコンサートはサロンコンサートで、
フランスで活躍するチェンバロ奏者の水谷友紀さんがメンバーの
“Dames de Ferrare”という女性3人のアンサンブル。
美しい音色に、心が洗われる思いでした。

以前でかけたサロンコンサートの楽器も本当に美しかったのを思い出します。



音色はチェンバロのようですが、もしかしたら、厳密にはチェンバロとはよばず、
ヴァージナルとう小型の撥弦楽器に範ちゅうに入るものかもしれません。



やはり、花の絵が描かれて、楽器というより高価な美術品です。



こちらはもっと小型で、家庭用といった感じです。



でも、貼られた弦の下には、やはり美しい花が描かれています。

チェンバロは古楽器であるせいか、
小さなサロンコンサートのような形態で催されることが多いようです。



この日の“Dames de Ferrare”のコンサートは、
世田谷の松本記念音楽迎賓館で行われました。
この建物はかつてパイオニアの社長さんの邸宅だったとか。
遠くバロック時代(17世紀から18世紀)には、貴族たちが屋敷に集まり、
チェンバロの音色に酔いしれていたのかな、なんて想像を膨らませて、
ちょっと優雅な気分に。
そして何とも心地のよい夕べでした。


“Dames de Ferrare”
https://www.facebook.com/Dames-de-Ferrare-1740770136145789/

水谷友紀
http://www.yuki-grl.com/

松本記念音楽迎賓館
http://ongakugeihinkan.jp/





・森 美保【オフィシャルサイト】

http://www.arrierecourune.com/




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