• トップ
  • >
  • 第31回 A.O.C. Appellation d'Origine Controlee アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ

第31回 A.O.C. Appellation d'Origine Controlee アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ

”Appellation d'Origine Controlee”ワインのラベルに書かれているこの文章、ご存知ですか?これは「原産地統制呼称」のことで、銘醸産地名を製品にうたうための資格を法律で定めたものです。フランスで生産されるワインは極めて種類が豊富なため、1930年代から厳密なワイン法制定の要請が高まり日常消費用ワインから原産地呼称つきのワインに至るまで明確な生産基準(原料ブドウ品種の指定や醸造法など)と、それに対応する監視方法が定められることになりました。このようにしてフランスワインは法律にのっとり、行政機関によって厳しく管理されており、それが品質の低下防止や不正取引の防止に役立っています。



<--◆-->

A.O.C.の条件は、生産地域、品種、最低アルコール度数、または最高アルコール度数、最大収穫量、栽培法、剪定法、醸造法、熟成条件、試飲審査など。ブドウをあまり多く収穫し過ぎるとそれだけ果汁の成分が薄くなるという理屈で、土地1haあたりのブドウ最大収穫量が果汁にして4.5キロリットルなどと制限され、ワインの最低アルコール濃度も、例えば、10%などと規制されています。この規制値は、産地、格付け、酒の種類ごとに決められます。こうして造られたワインが、例えばボルドーという栽培指定地域のものであるなら、ワインラベルにAppellation Bordeaux Controleeアペラシオン・ボルドー・コントローレと記載さることが許されるのです。Appellation(d'Origine)ControleeのOrigineの箇所に地域や区域の名前が記載(限定)されるというわけです。



<--◆-->

記載事務事項として、
1.原産地名称
2.原産地統制名称Appellation d'Origine Controlee(例外としてシャンパーニュは表記することを義務づけていない)
3.瓶詰め元の名前と住所(瓶詰め元はワインの法的責任を負う)
4.容量をリットル、センチリットル、またはミリリットルで明記する
5.アルコール度を容量パーセントで表示する%vol.
などがあげられます。



<--◆-->

任意記載事項としては、
1.ぶどう園所有者の住所
2.ブドウ園で瓶詰めされたことを示す記載(mise an bouteille a la propriete)
8.熟成と保存の方法
4.商標ないしワイン産出場所の名前
5.ヴィンテージ
6.消費者へのアドヴァイス
などを表記するというものです。

また、2006年10月2日付けの省令によって、アルコール飲料のボトルには、妊娠中の女性にアルコールを摂取しないように注意を促す表記も義務付けられました。これは、ラベル内に文章、もしくは、グラスを持った妊娠中の女性の絵に禁止の意味を表す赤線を入れたもののいずれかで表記をしなければいけないことになっています。



<--◆-->

A.O.C.ワインは、先に書いたとおり、生産地域(地方、地区、村、畑などに細分化されたもの)、ブドウ品種、栽培法、醸造法、試飲審査などを厳しく規定したA.O.C.法に則り作成されたもので、I.N.A.O.(Institut National de l'Origine et de la Qualite) 国立原産地・品質研究所の検査に通過した高級品です。
現在A.O.C.として認められた原産地は約400あります。



<--◆-->

フランスワインをわかるためには、まずラベルに書かれたA.O.C.の列をよく見て、どの地域産のワインかを見ることから始まるのです。まずはボルドーやブルゴーニュなどの地方、そして、メドックやコート・ド・ボーヌなど地区名、次にマルゴーやポイヤック、サンジュリアンなど村名が入ります。
地方→地区→村というように、より狭い地域の名前が書かれているほうが、原産地をより厳密に限定したことになり、品質が保証されるというわけです。





第32回 オーガニックとビオディナミワインについて >>
壬生有香の「美食画報」 TOPへ >>
美通信 コンテンツ一覧へ  >>