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第35回 イタリア統一150周年記念のワイン

2011年3月17日でイタリアは国家統一150周年を迎えました。
ナポレオンが1796年フランスの将軍として北部イタリアから進軍し、事実上イタリア半島をほぼ統一。その後カルボナリによる革命が起こり、1848年にはイタリア各地で「1848年革命」が勃発、紆余曲折の後に1859年サルデーニャ王国の首相であったカミッロ・カブールが、ナポレオン3世と同盟を結び、中部イタリア(トスカーナを含むイタリア中部諸領域)の併合を果たしつつ、ジュゼッペ・ガリバルディによる、千人隊(「赤シャツ隊」と言われている)を組み、イタリア南部、シチリアの征服に成功しました。このことにより、イタリアの小国家がすべて当時サルデーニャ王だったヴィットーリオ・エマヌエーレ2世に戻りました。
1861年にイタリアが統一されイタリア王国が樹立され、当時サルデーニャ王国の宰相であったカミッロ・カヴールが1861年3月17日に初代首相に就任し、最初の首都はトリノにおかれました。サヴォイア王家の宮殿であったカリニャーノ宮が国会議事堂として使用されましたが、その中にカヴール首相の執務室がありました。宮殿と小さな通りを挟んで、向かい側に創業1757年の老舗レストラン「リストランテ・デル・カンビオ」があります。このレストランはカリニャーノ宮西側のファサードに面しており、当時、毎日のようにこのレストランを訪れていたカヴール首相に急用があると、執務室の窓から側近たちが白いハンカチーフを振って首相に知らせたという逸話を聞いたことがあります。



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世界最大のワインコンベンションである「VINITALY」(ヴィニタリー)。毎年4月上旬にヴェローナ市郊外にあるヴェローナフィエレで開催されます。昨年私が参加した折には、イタリア共和国第11代大統領ジョルジョ・ナポリターノがご来場され、私も幸運にもそのお姿を拝見することができました。
今年VINITALYでは、イタリア統一150周年を記念して、特別ワインを醸造したのです。VINITALYがワイン醸造専門技術者協会(Assoenologi)に依頼し、イタリア全州20州から、白ワイン、赤ワイン、それぞれ20種類のブドウ品種を混ぜて一つのワインを醸造するという企画です。
白ワインは、すべて2009年収穫のブドウ品種20種類を、木樽を使用しない製法でつくりブレンドしたもの、一方、赤ワインは2005年から2009年の間に収穫された各州のブドウで、木樽にいれて熟成させたものをブレンドしたワインです。ブドウは、全20州からその州を代表する土着品種が各州の評議員により20種類選定され、前出のアッソエノロジの協力のもと醸造されました。残念ながら一般には販売されない非売品で、完成されたワインはナポリターノ大統領に贈られるというものです。
このワインは2月上旬、瓶詰めが開始され、3月末にようやく記念ボトルが完成されました。ボトルはイタリアを代表する二人のデザイナー、アルド・チビック(Aldo Cibic)氏とリッカルド・ファッチ(Riccaldo Facci)によるデザインです。
そして3月27日、ニューヨーク訪問中であったナポリターノ大統領に寄贈されたとニュースが届きました。この記念ワインは、もちろん限定で極わずかな本数のみ詰められたということですが、各国元首などにも贈られるそうです。
このワインを通してイタリアワインをさらに世界に広める目的も込められています。



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イタリアワインの輸出量は世界で第1位、輸出額では第2位というワイン大国です。2010年の総輸出額は過去最高の記録をうちたて、総売上高37億ユーロ(約4030億円)、前年比9%増となりました。内訳として、総売り上げの5分の1はアメリカへ輸出されています。私たちの隣国、中国へは前年比102%で、それまでのほぼ2倍に増えているとのこと、またロシアへは前年比51%増で売り上げ高は1億ユーロ(約110億円)となりました。
また、イタリアからの輸出ワインのうち60%は白ワインだそうです。世界的にアルコールの低い軽めのワインが好まれている傾向だということです。



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