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第48回 ワインの国際見本市

様々な製品を国際的な市場に向けて発表する見本市があるように、ワインの業界にも国際見本市があります。代表的なものはフランスのボルドーで開催されるVINEXPO、イタリアのヴェローナで開催されるVINITALY、そしてニューヨークで開催されるWINE EXPERIECEの3つがあげられます。



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私がワインの仕事に従事するようになって最初に体験したのが、ボルドーで行われるVINEXPO。会場は毎年、ボルドー郊外にあるラックのエキシビジョンセンターで2年に一度(奇数年)開催されています。広大な会場には2400ほどの出展社が集い、さまざまな趣向でイメージよくワインを展示しています。日本の会場と大きく違うと感じたのがブースのお洒落度。フレッシュなお花がそこかしこにアレンジされ、ビジネスというより社交場という雰囲気です。国別として20カ国以上のパビリオンがあり、各国のお国柄が手に取るようにわかります。ただしヴィネクスポの入場はワイン業界関連者(酒類流通・レストラン従事者、バイヤー、ジャーナリストのみ)と限定されているので、展示会を直接ビジネスにつなぐ重要な機会として捉えられている方が多いようです。会期中には、様々な催しが企画されますが、大きなものとしては、ボルドープリムールの発表、国際ソムリエ協会主催「世界最優秀ソムリエコンクール」、ワインビジネス協議会、テーマ別のグランド・テイスティングなどが挙げられます。またヴィネクスポ来場のついでにボルドーのワイン生産者のシャトーを訪問するツアーなどもあり、周辺のシャトーでは華やかなディナーが開かれます。 またボルドーで開催されない偶数年には「VINEXPO ASIA PACIFIC」と題して、アジア諸国のいずれかの国で移動開催がありますが、2010年には香港で開催され、約700の出展社、8800人が来場しました。EU諸国はギリシャ財政危機の影響があり、また米国は景気回復が足踏み中ということもあり、中国、香港のバイヤーが精力的に情報収集されていたようです。

▼VINEXPO 公式サイト
http://www.vinexpo.com/



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さて隣国イタリアのワイン見本市といえば『VINITALY』。イタリア北部ヴェネト州、ヴェローナのヴェローナ・フィエレで毎年4月に開催されます。ヴェローナは「ロミオとジュリエット」の舞台となった街として知られていますが、アレーナ(古代劇場)を始めとし歴史的な建造物が多く残される小さな街です。こちらは入場に際しての制限がなく会場規模、来場者数ともに世界最大を誇り、2010年には95,000平方メートルのフロア、約4,000の出展社、153,000人の来場者数という結果が上げられています。私は職業柄、VINITALYに参加することが多く、ジャーナリストとしての取材もありますが、多くのワイン生産者たちがここに一同に集まるため、”年に一度の挨拶”をしています。VINITALYでの催しは、27カ国3,600を超えるワインサンプルから優良なワインを選出する「インターナショナル・ワイン・コンペティション」、デザインの国イタリアならではの企画”パッケージの美しさ”を競う「インターナショナル・パッケージング・コンペティション」、ワイン生産やワイン文化の向上に功績した企業に授与される「ヴィニタリー・インターナショナル・アワード」、テロワール・ブドウ品種などテーマ別に分けたスペシャルテイスティング、の他、銘醸ワインメーカーの最良年のみをあつめた「グランド・ヴァーティカル・テイスティング」など期間中、興味深い催しがたくさん開催されます。
特に昨年の2011年はイタリア建国150周年を迎えたため、記念事業のひとつとして、『150周年記念』ワインが現在作られました。これはイタリア20州すべての州から、白・赤ワイン両方イタリア固有のブドウ品種のみ20種をブレンドさせ、ひとつのワインに仕上げるもの。ブドウの選別から醸造、熟成までのすべての課程を、VINITALYが「Assoenologi(ワイン醸造専門技術者協会)」に協力を要請したもの。VINITALY会場で、ジョルジョ・ナポリターノ大統領に寄与された後、各国のリーダーにも贈られました。
VINITALY期間中は、ヴェローナ市内のホテルは完全満室となり、主要なレストランの予約はもちろんいっぱいになります。日本国内の輸入業者さんたちはVINITALY参加に併せてイタリア各州の生産者を訪問するケースが多く、4月中旬まで出張中という方が多いようです。

▼VINITALY 公式サイト
http://www.vinitaly.com/



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米国でのワイン見本市は、米国で発行されている最大のワイン専門誌Wine Spectatorが主催する「WINE EXPERIECE」が最大です。欧州を含めた全世界から選出したワイナリーの出展で構成され、隔年ニューヨークのマリオット・マーキースを会場に開催されています。ショービジネスの米国らしいステージが楽しめる企画もあり、活気にあふれた出展です。私が訪れたのはかなり昔で、1993年秋でしたが、主催者マーヴィン・シャンケン氏との会食の機会に恵まれ、すでに知り合っていたイタリアワインの偉大な生産者GAJAの当主アンジェロ・ガヤ氏との再会など、私がイタリアのワイン界の扉を開いたのもこの年です。
2009年には、ラスベガスで開催された「The New World WINE EXPERIENCE」にて 日本から唯一、シャトー・メルシャンが正式招待ワイナリーとして選出されました。グランド・テイスティングでは、「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香 2009」が出品され、甲州品種の特性を参加者全員に解説されました。

▼参照サイト(PCサイト)
http://www.winespectator.com



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現地の見本市に行くのが一番良いのですが、現代ではインターネットサイトを利用して情報をキャッチすることができます。ワインライフがより充実したものに変わるでしょう。



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