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第6回ワインのウ゛ィンテージ

ワインのラベルにはヴィンテージ(収穫年)が記載されており、これはそのワインを造るために使われたブドウを収穫した年のことです。


ワインは農産物ですから、その年の天候によって原材料であるブドウの出来具合が大きく変わります。降雨量、日照量は年間でどの程度であったか、そしてブドウの木が芽吹く春先の気温、夏の暑さ、収穫前の初秋の気温の下がり方などがブドウの熟成に大きく関わりワインの味を決める大きな要因になります。


ワインに詳しい人が、「当たり年」とか「良くない年」と言っているのを聞いたことがあるでしょう。どのようにしてヴィンテージの良し悪しを見極めたらよいのでしょうか。このような時、役立つのがヴィンテージ・チャート。専門家の分析により、過去のヴィンテージについて産地ごとに★の数で評価されている表です。★の数が多いほどその味わいが保障されており、安心して購入または飲むことのできる目安を記載しています。当然ながら良い年のワインは生産者から出される価格が最初から高めで、私たちがレストランでオーダーする価格もそれに比例します。逆にあまり良くなかった年のワインは、比較的手ごろな価格で販売されることが多く、ワインが飲み頃に達するまでの時間もそう長くかからないため、私たちにとっては飲みやすいワインといえます。



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しかし、どのような年であっても、生産者たちはブドウを育てるのに手を抜くことはなく、限りない努力と想像もつかない忍耐力をもってブドウの生育を見守っているのです。悪い年だからといって決してワインの魅力が損なわれるものではありません。専門家でなければヴィンテージの差は「年による個性の違い」と解釈してもかまわないでしょう。


オールド・ヴィンテージ・ワインの魅力
一般的にワインが長期間、瓶の中で熟成されるためには、いくつかの条件がありますがもっとも必要だとされている要素が上質なタンニンです。そういう意味では赤ワインのほうが長期熟成に向いているといえます。タンニンが若いうちは、非常に硬質で収斂味がありますがこれは年数とともに柔らかくなるものです。同時に若い間、フレッシュだった酸味も落ち着いてきてまろやかな味わいになる手助けをします。若い間はブドウの持つ本来の味や香りが前面にでていますが、熟成すると香りや味わい、そして風味がさらに複雑になり、すばらしいハーモニーをかもし出すのです。こうした魅力を放つようになるまでにはそれなりの長い時間を必要としますので、一般的に言われている「飲み頃」になるまで待ったほうが、価値があるのです。


またオールド・ヴィンテージ・ワインのもつ魅力のもうひとつは、私たちの想い出の年と重ねあわせることが出来るという点です。自分の誕生年のワインをさがす、また子供の生まれ年のワインをとっておき、成人になったとき家族でお祝いしたいといった場合にワインは最適です。どんな人にもその人生において「忘れがたい年」があるでしょう。ワインもまた私たちと共に時代を生きているのです。





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