第7回ワインの保存

ワインは非常にデリケートなものだということはみなさんも良くご存知でしょう。高価なワインだからといってリビングのキャビネットの上に飾り、シャンデリアや照明をあてているとそのワインは間違いなく風味を損ない、時間の経過と共に劣化してしまいます。もしあなたがワインを愛する人であるなら、ワインにとってどのような環境が良くないのかを知っておくべきでしょう。ワインは光があたっている場所、空気の乾燥している場所、常に振動の多い場所に長期間置かれると、本来持っていた味を損ない劣化が進むと言われています。海外で買った高価なワインやプレゼントされたワインを良い状態でとっておきたい、またこれからワインを収集していきたいなど、ご家庭でワインを長期に保存しておきたいのであれば、室内設置型ワインセラーに入れておく方がよいでしょう。こちらはワインにとって適した温度と湿度が一定に保たれるようになっています。コンプレッサーによる振動も最低限に抑えられていますので、安心してワインを貯蔵しておくことができます。



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価格や大きさもいろいろあり、小さいものでは価格も安く10本程度を収容できる簡単なタイプから200本ほどを収容する本格的なものまであります。よく「家庭用で、どの程度のセラーを買えばよいですか」と質問を受けますが、そのご家庭でのワイン消費量によってもまったく違ってきますので、一概には決められません。私の経験から言えば、大抵のワイン愛好家は小さいセラーのままでは我慢できずに、やがてもう一台必要となるといった方が多いように見受けますので、設置場所に余裕があれば最低でも50本程度は収容できるものがお勧めです。
セラーは買えないけれど家にあるワインが心配だという方は、家の中で比較的温度のあがらない場所で、静かで暗く湿った場所にラックを置いて横に寝かせておくのがよいでしょう。よく押入れやクローゼットの中にしまってあるということを聞きますが、洋服と一緒に収納するは、樟脳など防虫剤の匂いや洋服に染み付いた香水の匂いがワインに移りますからよくありません。


家庭用冷蔵庫に入れておくのはもっともいけないことです。一般の家庭用冷蔵庫は、乾燥しているのでコルクの状態が悪くなる上、5℃前後に設定されていることが多く、ワインの保存適温よりも低すぎるからです。また冷蔵庫にはいろいろな食品が入っていて、ワインに雑臭が移ってしまう危険性があります。翌日のおもてなしのために前の晩から冷蔵庫に入れておくということも避けたほうがよいでしょう。冷やして飲みたいワインは、氷水の入ったワインクーラー(専用でなくても大丈夫。極端なことをいえばバケツでもOK)に20分ほど入れておけば適温(スパークリングや白ワインであれば5℃-10℃)に下がります。





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