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vol.2 いけばなって何だろう?



みなさまこんにちは。

だいぶ春めいてまいりました

花も緑も活動を始める春

私たちまで、なんだかウキウキしてしまいますよね

さて、前回は「花と人の関係」、その歴史を追ってお話させていただきましたが、今回は我が国で独自に伝統が守られてきた「いけばな」のルーツを探ってみたいと思います。現在、大小合わせて300以上もの流派が存在するといわれているいけばなですが、実は西洋の文化とも深いかかわりがあるんですよ


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ではさっそくですが、いけばなはいつごろ生まれたのでしょう

現在まで残る多くの伝統文化と同様、もともとはいけばなも中国の習慣が伝来し、お手本にしたものです。それは「供花~くげ~」という、仏様に花を手向ける習慣に端を発していますが、その習慣を日本に持ち帰ったのは、遣隋使として有名な小野妹子であるとされています

そのことから、小野妹子はいけばなの祖とも呼ばれているのです。小野妹子といえば聖徳太子の活躍していた飛鳥時代、6世紀ごろの人ですから、その頃には日本にも、仏教と結び付いた花をいける習慣があったというわけです。ヨーロッパでも、もともとは教会の装飾として花が使われていたわけですから、宗教的な習慣が花と人をつなげていたことは、遠く離れた国同士であっても似たようなならわしであり、興味深い話ですね












それが室町時代に「立花~たてばな~」という生け方が開発されたことから「いけばな」が確立されることになります。この立花は、宗教から完全に離れ、鑑賞を目的とするとともに構成的な理論をも持つものとなるのです。いけばなだけではなく、室町時代というのは能や茶の湯が生まれ、絵画や建築なども大いに発展した時代です。その発展に貢献したのは武家文化を築いた武士たちでした。
そのような中でこの時代、建築では現代の日本家屋の原型となる書院造りが生まれ、「床の間」というスペースができます。この床の間には美術品や掛け軸なども飾られましたが、それらと同様に空間を飾るものとして、中心になる枝を高く立てるスタイルである立花が誕生したのでした




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この後安土桃山時代~江戸時代にかけて、立花が急速に発達し、スケールの大きな華美なものがもてはやされていくのですが、それとは対極にあるものとして「茶花」が生まれます。千利休などによって追求されていったわび茶の世界で、その精神を象徴するものとして、茶室の隅に投入形式の一輪か二輪の花が生けられました




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江戸後期にもなると、「生花~せいか/しょうか~」と呼ばれる様式が生まれます。町人たちの家屋に、書院造よりも簡素な「数寄屋造り」が生まれ、床の間が町人にも普及しました。その小さな床の間にも飾ることを目的とされた生花は、一般の人々にも受け入れやすいシンプルな構成で、爆発的に流行します。これに伴い、多くの流派が誕生し、家元制度も確立されていきました。

明治時代になると一度勢いを失ったいけばなでしたが、政府が婦女子教育の一環としていけばなを推奨するようになると、また関心を集めるようになります。これによって、それまで男性中心だったいけばなの担い手は一般の女性に移っていくことになるのです>

また西洋の文化を積極的に取り入れようとしていたこの時代、住宅にも応接間を取り入れることが流行し、それに見合うように「盛花」という様式が生まれます。実は、現在いけばなに欠かせない道具である「剣山」は、この盛花の誕生によって初めて作られたのです

それ以前は、七宝と呼ばれる穴のあいた金属板などが花留めとして使われていたのでした。

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さて、日本にフラワーデザインが入ってきたのは江戸の終わりから明治初の年頃であるとされていますが、反対に日本のいけばなも、世界的なジャポニズム~日本文化の世界的な流行~により欧米へもたれされることとなります

以後、フラワーデザインといけばなは相互に影響を与えあうようになります


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現在では、伝統を守る古典的ないけばなとともに、前衛的いけばなも大きな発展を遂げ、無限な可能性を秘めたものとして広がっています

生活スタイルの変化とともに、いけばなも時代に合わせて変化してきましたが、これは、特にいけばなが空間を取り入れることを大切にし、住空間とともに変化してきたということでもあります。そして、前衛的ないけばなではただ生のお花を生けるだけではなく、枯れものといわれるドライ素材、花以外の素材なども作品の一部として利用し、新しい素材の追求もされながら、進化し続けているのです

実際、私もパリで学んでいたとき、いけばなとフランスのフラワーデザインには共通点があると強く感じました

といいますのは、どちらも植物の特徴を見極めて自然を生かすのと同時に、空間をとらえようとしているところに基本があるからだと思うのです。これこそ、両者がお互いに影響を与えあっていることの表れではないでしょうか







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