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vol.5 夜空を見上げて~お月見を彩る植物たち



みなさま、こんにちは

夏は日が長いのでなんだか得をしたような気がしますが、すこしずつ秋めいてくると、日が落ちるのが徐々に早くなってきますね。そんな太陽の動きでも季節の移ろいを感じることができますが、今回はお月見についてお話したいと思います
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一般的にお月見とは、月を、主に満月を眺めて楽しむことをいいます。「観月」と言われることもあります。また、卵の黄身の姿かたちになぞらえて、「月見」と名のついた様々なお料理のメニューがあることも、みなさまよくご存じのことと思います

このように月を眺めて楽しむお月見の風習は、実は大変古くからおこなわれていました。もともと十五夜のお月見は中国の風習で、それが平安時代に日本へ伝えられたといわれていますが、それよりもはるか昔、縄文時代のころから、日本人には月を愛でる風習があったといわれています

なんだかロマンチックですよね。また、奈良時代にも宮中で月見の宴が催されていたことが、数々の和歌などに詠まれています
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ところで平安時代の貴族の月の楽しみ方は、ただただ月を眺める、というものではありませんでした。直接空に浮かんでいる月を見るのではなく、船に乗って水面に揺れる月を楽しむ舟遊びや、酒杯に月を映したりして歌を詠み、宴を催して楽しんでいたのだそうです

貴族たちの、とても優雅で風流な様子が目に浮かびますね
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お月見は、時期が決まっている行事の一つで、旧暦8月15日~16日の夜と、旧暦9月13日~14日の夜に行われるものです。それぞれ八月十五夜、九月十三夜ともいいますが、お月見について話しているときには十五夜、十三夜と省略して呼ばれます

むしろ私たちにとっては、この省略形の「十五夜」のほうが耳慣れているかもしれませんね

旧暦ではもともと、「秋」といえば7月・8月・9月のことをさしていました

またそれぞれの季節を「初」「中」「晩」をつけて細分していましたので、つまり7月のことを初秋、8月のことを中秋、9月のことを晩秋と呼んでいました

そのことから「中秋の名月」の「中秋」という言葉がきているのですが、8月15日というと、ちょうど7月~9月の秋の3か月の真ん中の日ですので、この日のことを秋の真ん中の日、「中秋の日」と呼ぶようになったのです。

旧暦は月に満ち欠けをもとにする太陰暦の一種ですから、その日付は空の月の満ち欠けと対応しています。そのため月の半ばである15日の夜には必ず満月、もしくは満月に近い丸い月が見られたわけです。そこから、十五夜の月=満月と考えられるようになりました

そして、中秋の日・旧暦8月15日ももちろん、満月もしくは満月に近い月が見られるということになります

こうして中秋の日の夜に、澄んだ秋空に上るこの丸い月のことはやがて、中秋の名月、と呼ばれるようになったのです
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しかし旧暦での8月15日ですので、現在の暦とはズレが生じます。また年によって日付も変わります。だいたい毎年、9月中旬~10月頭くらいになるようです

そして旧暦は月齢とほぼ一致するものの、そこにもズレが生じることがあります。ですので、現在の暦と対応させた旧暦8月15日にあたる日が必ずしも満月になるとは限らないのです。むしろ、満月にならないことのほうが多いのだとか。

しかし「中秋の名月」は一種のお祭りのようなものですので、厳密に月が満月かどうかということが重要なのではなく、「八月の十五夜の月」としてだれもがその日のことを知っている、分かっているということが大切なのだと思います
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それから、他のお供え物としては月見団子がありますね

地方によって諸説あるようですが、十五夜には15個、十三夜には13個の月見団子をピラミッド状に盛りつけます。

他に、12個にするという地方や、お団子の形がまん丸のものではなく、細長くしたり、平たくしたりするところもあるようです
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今年2012年の中秋の名月は9月30日(日)だそうです。さきほど、中秋の名月と満月は重なると限らない、というお話をしましたが、珍しいことに今年は満月と重なります

日曜日と言うこともありますし、みなさまも中世の貴族たちにならって、優雅に月を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

その際にはぜひ、お月見団子と秋の七草の準備をお忘れなく

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