2014-10-06 08:00
スキンケア
アトピー性皮膚炎発症は保湿で予防可能?比較試験の結果が公開

(画像はイメージです)
この研究成果は、Journal of Allergy & Clinical Immunology誌に掲載され、オンライン版で公開されています。
今回の研究には、アトピー性皮膚炎のリスクが高い118人の新生児が登録されました。両親あるいは兄か姉がアトピー性皮膚炎を持っていることをリスクとしています。
出生後1週間後にコントロール群と保湿剤塗布群に無作為に割り付けて、4週間ごとに観察を行いました。試験期間は塗布開始から32週間です。
コントロール群59例、塗布群59例が割り付けられました。32週間の試験を終了した例数はコントロール群49例、保湿剤塗布群50例でした。
アトピー性皮膚炎を発症していない割合を乳児の週齢ごとに計算して、アトピー性皮膚炎の発症率をコントロール群と保湿剤塗布群の差をlog-rank testという解析法で比較しました。
(画像はプレスリリースより)
その結果、保湿剤塗布群はコントロール群に対して有意に(P=0.012)アトピー性皮膚炎の発症を抑えました。
卵に対するアレルギーがあるかどうかをIgE抗体の血中濃度を調べましたが、保湿剤塗布群とコントロール群ではどちらもIgE抗体が高値になっていました。
しかし、塗布の有無にかかわらず、アトピー性皮膚炎の有無でIgEを検討したところ、アトピー性皮膚炎を発症した群ではIgEが高くなっていました。
保湿剤により、アトピー性皮膚炎の発症の可能性は示されましたが、アトピー性皮膚炎が発生してからのIgE抗体の発生に保湿剤は効果がありませんでした。
今後は、保湿剤で発生を予防するとともに、免疫細胞の突起に対する処置が必要になるとのことです。
また、保湿剤による効果が例えば3歳児になったときにはどうなっているかなどは興味のあることです。
【参考】
・国立成育医療研究センター
http://www.ncchd.go.jp/center/information/topic/images/
保湿剤のアトピー性皮膚炎の予防効果
2014年10月1日、国立成育医療研究センターは、生後に1日1回保湿剤を塗布することによって、アトピー性皮膚炎の発生率を下げることができることを、比較試験によって確認したことを明らかにしました。この研究成果は、Journal of Allergy & Clinical Immunology誌に掲載され、オンライン版で公開されています。
研究背景と内容
アトピー性皮膚炎を予防するために様々な試みが行われてきました。妊婦のアレルゲンとなる食物の制限や空気中のアレルゲンの除去あるいはその両方の研究が行われましたが、芳しい結果ではありませんでした。今回の研究には、アトピー性皮膚炎のリスクが高い118人の新生児が登録されました。両親あるいは兄か姉がアトピー性皮膚炎を持っていることをリスクとしています。
出生後1週間後にコントロール群と保湿剤塗布群に無作為に割り付けて、4週間ごとに観察を行いました。試験期間は塗布開始から32週間です。
コントロール群59例、塗布群59例が割り付けられました。32週間の試験を終了した例数はコントロール群49例、保湿剤塗布群50例でした。
アトピー性皮膚炎を発症していない割合を乳児の週齢ごとに計算して、アトピー性皮膚炎の発症率をコントロール群と保湿剤塗布群の差をlog-rank testという解析法で比較しました。

その結果、保湿剤塗布群はコントロール群に対して有意に(P=0.012)アトピー性皮膚炎の発症を抑えました。
卵に対するアレルギーがあるかどうかをIgE抗体の血中濃度を調べましたが、保湿剤塗布群とコントロール群ではどちらもIgE抗体が高値になっていました。
しかし、塗布の有無にかかわらず、アトピー性皮膚炎の有無でIgEを検討したところ、アトピー性皮膚炎を発症した群ではIgEが高くなっていました。
今後の展開
アトピー性皮膚炎の皮膚では免疫細胞が表皮を貫いて突起を伸ばしていることが報告されています。保湿剤により、アトピー性皮膚炎の発症の可能性は示されましたが、アトピー性皮膚炎が発生してからのIgE抗体の発生に保湿剤は効果がありませんでした。
今後は、保湿剤で発生を予防するとともに、免疫細胞の突起に対する処置が必要になるとのことです。
また、保湿剤による効果が例えば3歳児になったときにはどうなっているかなどは興味のあることです。
【参考】
・国立成育医療研究センター
http://www.ncchd.go.jp/center/information/topic/images/
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